着物大学

成人式の振袖~賢く上手な選び方

<成人式を彩る二十歳の振袖>

二十歳という年齢は、成人として認められる、人生における大きな節目の年です。
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現在は、一月の第二月曜日が「成人の日」と定められ、式典が催されます。(地域によって多少のズレがあります)
当日、成人式の会場を訪れますと、スーツやドレスをお召しの方もいらっしゃいますが、多くのお嬢様が振袖をお召しになっています。振袖姿のお嬢様が一堂に会する成人式の会場は、たいへんな華やぎです。
ご両親、ご家族にとっては、無事に成人を迎えたことを喜び祝う、晴れがましい日であり、ご本人にとっては、これまでお世話になった方、守り育ててくださった方々への感謝を伝えるとともに、新成人として心構えを新たにする日でもあります。
そんな特別な日の二十歳の振袖は、お嬢様に女性としての品格と、若々しい華やぎを添えてくれることでしょう。

<第一礼装である振袖をまとう喜び>

日本には、子どもの成長を祝う通過儀礼が数多くありますが、成人式はその集大成と 言える重要な行事です。
古来より、子どもが大人の仲間入りをすることは、特におめでたいこととされ、厳粛な儀式の日として祝ってきました。
冠婚葬祭の「冠」とは、今では人生の節目のお祝いごと全般を含みますが、本来はまさに成人の儀のことでした。
これは、子どもの髪の形を改め烏帽子(冠)を戴く、男子の元服・初冠に由来します。女子の場合は、裳着・髪上などと呼ばれる通過儀礼がありました。
このように、装いを改めることで成人した印とし、お披露目をしていたのです。
そのような由来を思えば、成人式にはある程度整った、心得のある服装で臨まれることが好ましいでしょう。
それは、洋装でも和装でも同じことが言えます。
振袖は、未婚の女性の第一礼装です。成人を迎えるお嬢様に、とても相応しい装いです。
新成人となるお嬢様に、世界に誇る、日本の民族衣装である振袖は、この上ないお祝いとなるでしょう。

<お母様・お祖母様の振袖を装う>

成人式に、お母様やお祖母様の振袖をお召しになるお嬢様が増えています。
「ママ振り」という言葉も定着しつつあります。
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お召し物を譲り受けることは、その方の心や想いも受けつぐこと、という考え方が 古くからあります。
成人を迎える嬢様が、思い出の振袖を受け継ぎ身にまとうことは、
とても素晴らしいことです。

お母様やお祖母様の振袖を素敵に上手に着こなすためには、いくつかのチェックポイントがあります。
1、状態をチェック
お母様やお祖母様の振袖は、長い間、箪笥から出されていないものがほとんどです。
状態によっては、メンテナンスが必要になる場合もあります。
早めに、シワ、変色、シミや汚れの有無をチェックしましょう。
気になる点がありましたら、呉服店や悉皆の専門店にご相談ください。最初に見積もりを出していただくと安心です。
きれいな状態で保管されていても、防虫剤や湿気の匂いがついていることがあります。ご自宅で着物ハンガーに掛けて陰干しし、風を通すだけでも違いますが、虫干しや洗いを専門店にお願いしてもよいでしょう。

2、寸法をチェック
背丈や体格に大きな差がありますと、着物の寸法が合わない、ということが考えられます。
ある程度でしたら、仕立て直すことで対応できますが、すべての振袖がぴったりの寸法に直せるとは限りません。呉服屋さんに判断していただきましょう。長襦袢の寸法も着物に合わせてありますので、一緒に見ていただくようにしましょう。

3、コーディネートを考える
お母様と同じコーディネートでお召しになってもよいのですが、やはり古風な印象になりがちです。
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袋帯や帯締め・帯揚げ・重ね衿(伊達衿)・半衿などの小物をアレンジすることで、現代風に、また、より素敵にお嬢様の個性を引き出すことができます。
小物だけ変えて、帯はお手持ちの帯を締めたいとお考えの方もいらっしゃると思います。ただ、お母様やお祖母様がお若いころの帯ですと、帯芯が厚めであったり、長さが短かったりすることがあり、今風の変わり結びが結びにくい場合があります。
着付けの工夫で対応できることもありますし、仕立て替えなどの方法もありますので、専門店にご相談なさるとよいでしょう。
小物だけレンタルできるレンタルショップもあるようです。利用してみるのもよいでしょう。

こう書きますと、手間のかかるもののように思われるかもしれませんが、一度、振袖を
お店にお持ちになり、ご相談なされば、すべて対応していただけることです。お時間がありましたら、何店か訪ねてみてもよいと思います。
気をつけていただきたいのは、着物のメンテナンスやお仕立ては、時間がかかるということです。急ぎでとお願いしても、洋服のクリーニングのように今日明日というわけにはいきません。
具体的にどの程度の時間がかかるかは、相談内容やお店にもよりますが、遅くとも、三か月前にはご相談なさってください。

箔や刺繍を施し直すことで、見事に蘇ったお祖母様の振袖を、それは嬉しそうにお召しになったお嬢様がいらっしゃいました。そこには、お祖母様のご両親の想いまでもが宿っているのです。
抽斗の中で眠っている振袖がありましたら、たとう紙を開いてみませんか? 出番を待っているかもしれません。

<理想の振袖に出会うために>

似合う振袖とはどんな振袖のことでしょう。
着物を選ぶ際、最も大切なものは色です。次に柄行きを考えます。
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お顔の色が、ぱっと輝いて美しく見える色がお似合いになる色です。
振袖は、一色が際立つものから、多色が主張するものまで様々ですが、やはりお顔映りのよいものが似合う振袖と言えるでしょう。
振袖の柄行きに関しては、お好みが第一であると思います。
あらかじめ、パンフレットやネットショップの写真などをご覧になり、なんとなくでもよいので、惹かれる振袖の雰囲気をつかんでおくと、イメージ通りの振袖が見つかりやすいでしょう。

◎購入とレンタルどちらにする?
成人式の振袖には、大まかに分けて、購入とレンタルという選択肢があります。
写真撮りやヘアメイクアップのサービス特典の傾向については、ここでは詳しく述べま
せん。

振袖そのものに焦点を置いて、それぞれの特徴をみていきましょう。

1、振袖のレンタル

レンタルの長所

・着用後のお手入れ・保管の必要がないところ。
・購入よりもお手頃な価格帯。(5万円前後から、新作や人気柄で30万円くらい)
・一般的に好まれるものが多いところ。
・先のことを考えず、今、着たいものを選べるところ。

レンタルの短所
・極端に背の高い方や小柄な方は、選択肢が限られる。
・以前にどんな人が着ていたかわからない。
・必要になるたびにレンタルすると、結果的に割高になる。
・帯合わせや小物など詳細がお任せになる。
・化繊が多い。

お店によってサービス内容が異なりますので、詳細は店舗にお尋ねになるとよいでしょう。
例えば、寸法の問題は、仕立て上がっている振袖の中から選ぶだけでなく、
お嬢様の寸法で仕立てていただけるフルオーダーを扱っている店舗もあります。

また、帯合わせや小物については、レンタルであっても、帯揚げ帯締めなどの小物に至るまで、
好きなものを選べるセットもあります。
どんな小物を選んでよいかわからないという方は、お任せセットの方が安心感があるでしょう。
イメージを明確にお持ちの方は、ご自分で選べる方が楽しみが広がるでしょう。
意外と目につく長襦袢ですが、レンタルで色柄を選べる話はあまり聞いたことがありません。
どんな振袖にも合う薄いピンク色の化繊素材が主流のようです。
お店で着付けていただき、お店で脱いで帰宅する、という方も多く、お手入れいらずです。

2、振袖の購入

購入の長所

・何度でも、必要としたときに使うことができる。
・将来、子どもや孫に受け継いでいける。
・お嬢様に合わせた寸法に仕立てることができる。(※リサイクル品は除く)

購入の短所
・お手入れ、保管が必要となる。
・同じランクの品であれば、一般的にレンタルよりも割高になる。
・納品までに時間がかかる。(※リサイクル品は除く)

なんといっても、購入の長所は、何度でも着ることができ、思い出の品として手元に残ることに尽きます。
なお、振袖の購入については、(1)既製品 (2)お誂え (3)リサイクル品の三種類が考えられます。
それぞれに特有の長所と短所について、見ていきましょう。

(1)既製品の振袖
仮仕立ての状態になっています。仮仕立てとは、仕立て上がりの雰囲気をお客様にわかりやすくするために、
反物を仮に着物の形に縫うことで、最もよくある振袖の商品形態です。お嬢様の寸法に合わせて仕立てていただけます。

振袖の催事では、仮仕立ての振袖がたくさん並んでいますので、豊富な色柄の中から選ぶことができます。
お店ごとに、得意とする傾向や特色があります。全国展開の呉服店では、比較的平均的な幅広い商品を置いている
ことが多いですが、オリジナルブランドを展開しているところもあります。

既製品の長所

・実物を羽織って、色映りを比較することができる。
・振袖を選ぶと同時に、帯や小物のコーディネートも決めることができる。

既製品の短所

・好みの色や柄があるとは限らないこと。

(2)お誂えの振袖
生地を選び、図案を引くところから始めて、お好みの色柄に染めていただけます。
お嬢様のための、世界に一つしかない振袖ができあがります。
お店や染めの内容によって異なりますが、出来上がりまでは日数がかかります。
染色工房や作家の先生に直接注文する方法と、百貨店や呉服店を通して注文する方法があります。
こだわり派の方にお薦めです。

お誂えの長所

・色、柄、寸法を自由に選べるので、着たい絵柄で似合うきものを作ることできる。
・私のために、という特別感がある。

お誂えの短所
・高額になること。
・時間がかかること。
・帯や小物などを改めて選ぶ必要があること。

(3)リサイクル品(USED品)の振袖
中古品、新古品とも言われます。
多くはお仕立て上がりの状態ですので、品物の状態はもちろん、寸法は要チェックです。
振袖レンタルショップ系列の中古品店には、比較的新しくきれいな振袖があります。
美術的価値のあるアンティーク品や工芸品は別として、比較的安価です。
信頼できるお店を見極めることも重要です。

リサイクル品の長所

・新品を購入するより安価に手に入る。

リサイクル品の短所
・品質を見極めることが難しい。

レンタルか購入かと、迷ったときには、成人式の後、振袖に袖を通す機会について、少し長い目で考えてみましょう。
現代の社会では、洋装で出席して顰蹙を買うような行事はそうありません。ですから、振袖をお持ちでなくとも
困ることはありません。ですが、振袖が相応しい行事もたくさんあるのです。

ご親戚やご友人の結婚式、卒業式、和の習い事をしていらっしゃれば、さらに増えるかもしれません。
結納の際にもピッタリの装いです。

そうした機会が巡ってきたときに、振袖を着たい、または着せたいお気持ちがあるかどうかということを、
ご家族やお嬢様とお話ししてみてはいかがでしょうか。
成人式一度きりと割り切るのならば、レンタルがよいでしょうし、成人式後も振袖を楽しみたいのならば、
購入がおすすめです。
お嬢様やご家庭の事情をふまえながら、後悔のないよう、検討していただきたいと思います。

◎お店選びから購入までの留意点

お嬢様が高校生くらいになりますと、気の早いもので、振袖のパンフレットが届くようになります。
実際に行動を始めるのは、成人式の一年くらい前、という方が多いようです。
ご準備にどのくらいのお時間をかけるかは、それぞれに事情によりますので、一概には申せませんが、
半年はみていただきたいところです。

お嬢様がお友達同士で同じお店にしたいとご希望されることもあるようですが、ほとんどの場合、
お母様が主導しなければ何も始まりません。

何軒か気になる呉服店に足を運んでみるとよいでしょう。お店の方と直接お話しすると、お店や店員さんの雰囲気、
質問に対して的確な答えが返ってくるか、強引なセールスをしないか、など、多くのことがわかります。

また、お店のホームページなど、Webで情報を収集しましょう。お知り合いとのちょっとした日常の会話にも、
振袖や成人式の話題を盛り込むようにすると、耳寄りな情報が入ってくることもあります。

忙しくて時間がなく、着物の格やコーディネートに失敗したくない、確かな商品と間違いない着姿を作りたいという方は、
信頼できるきものコンサルタントを探して依頼なさるのもよいでしょう。
きものライフコンサルタントの方をネットで見つけることもできるでしょう。

お店が決まったら、お嬢様と一緒に足を運び、お好みの振袖を実際に当ててみましょう。
お時間があれば、お母様が先に下見を兼ねてお店を訪ね、お好みやご予算を伝え、ある程度の候補を絞っておくと よいと思います。

予約制のお店もありますので、事前に確認しましょう。
また、お嬢様の服装は、首元が隠れないものにしましょう。
髪が長いお嬢様は、最初からアップスタイルにしていくか、使い慣れた髪留めを持参なさるとよいでしょう。
洋服の上から振袖を羽織るので、フードつきのトップスやボリュームのあるスカートは避けましょう。
お草履や足袋を試し履きすることもありますので、ストッキングやタイツも避けた方が無難です。
実際に振袖を目にされて、運命の出会いとばかりに一目惚れされるお嬢様もいる一方、
最初はなにがなにやらわからないという方もいます。初めのうちは、緊張もあるかもしれません。
お母様が主導して、お嬢様の希望を聞きながら、帯合わせや、小物の色合わせなど考えていきましょう。

わからないことや、疑問があれば、お店の方にどんどん尋ねることが肝心です。
お手入れのアフターケアについても確認しておくと安心です。

店舗へ実際に足を運ぶことが最善ですが、どうしても都合がつかないこともあります。
また、近年では、ネットショップも隆盛です。
気に入った振袖を見つけたら、積極的にメールや電話で問い合わせましょう。

コーディネートの相談も併せてするとよいでしょう。
一度お手許で実物を確認できるよう、仕立てる前の商品を送っていただける場合もあります。
その際の送料は、お客様負担のときと、お店が負担するときがあります。
返送までの期間と併せて、事前に確認しましょう。

ネットショップの場合は、お嬢様のお着物の寸法を、身長・バスト・ヒップ・腕の長さなどから割り出します。
もし、お嬢様に合わせて仕立てた着物がありましたら、同じ寸法でお仕立てしていただいてもよいでしょう。

成人式の振袖は、お嬢様が主役であることはもちろんですが、ご両親やおじい様、おばあ様が納得のいくもので あることが大変重要です。是非とも、家族の皆様が誇りに思える装いを、お嬢様のために準備して差し上げたいですね。

この記事を書いた人

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